混沌
それがインド

文:SorAsha・ガネッシュ編集部 /写真:SorAsha

この国は混沌としている。

12月初めにデリーの居を移した。新しく建った15世帯ほどの小さなアパートだ。
引渡し予定の日、アパートにはまだ洗面台もついておらず、かろうじてトイレ(水洗)は使えるものの、付くはずのシャワー本体は影も形もなかった。大家に文句を言うと設備屋が来て、泥だらけのサンダルで洗面台だけ付けて帰って行った。
「掃除済みで引渡される」予定だったアパートは、床や壁のそこら中に堆積した泥とホコリとペンキのカスとともに契約初日を迎えた。

シャワーが付いたのはそれからちょうど4週間後の日だ。
シャワーの蛇口がついたとはいえ、この国では日本のように無制限にお湯が使えるわけではない。30分かけてヒーターで水を温める。温かいと感じる程度にあたたまるのは一回に大きめのバケツひとつ分で、それを使い切ったらあとは水だ。あと30分待たないと次のお湯は使えない。

それでもお湯が出るだけマシだ。というか水が出るだけマシだ。
ダージリンの住まいでは、何が原因かわからないまま何ヶ月も水が出なかった。気温10度以下で、外のタンクにたまった雨水(なんだかよくわからない細長い虫が泳いでいる)で頭を洗う。

デリーのアパートが整うまでの苦労はいくら書いてもキリがないし、そもそも今なお継続中だが、このところ困っていたのは停電だ。
停電してしまうとWi-Fiも止まるから、写真をアップすることができない。テザリング(スマートフォンの電波を利用してパソコンをインターネットに繋ぐこと)で写真が送れるなんて考えちゃいけない。この国の電波はとっても不安定なのだ。私のスマホは首都デリーの空港で繋がった試しがない。

昨日停電の原因がわかった。どうやら政府がこの地区全体の電気ケーブルを変える作業をしているらしい。
それならそうといってほしい。停電の期間や時間を前もって教えてほしい。
がしかし、それが無いのがインドだし、それが無くても住人はみな、こんなもんさと諦めている。

今年もそんなインドから、紅茶やインドのカルチャーに関するさまざまな写真とコラムをお届けする予定だ。

2019年もよろしくおねがいします。

(SorAsha,  ガネッシュ編集部)