メヘンディ
出張バージョン
文:ガネッシュ編集部 /写真:SorAsha・ガネッシュ編集部
今日は、前回のコラムで紹介したメヘンディの出張バージョンをご紹介します。
出張メヘンディ屋さんが家にやってくるのは、結婚式など家族のお祝い事のとき。
インドの結婚式……と一言で言ってもインドは広大ですから地域や宗教によって様々なのですが、インド全体の宗教人口の約80%を占めるヒンドゥー教徒(直近の国勢調査による)、あるいはインド人のイメージとしてお馴染み、頭にターバンのシーク教徒、の結婚式においては、このメヘンディ自体が結婚式の儀式のひとつとして組み込まれています。
結婚式当日の1-3日前、親戚中の女性たちが一堂に介し、そこで次から次にメヘンディを施術してもらいます。
結婚する本人に近い血筋になればなるほど、広い面積に細かな模様を入れるのが暗黙の了解。指の先から手首まで、前腕の途中まで、肘まで、結婚する本人となれば肩まで施す場合もあります。足の先から足首やふくらはぎにかけても同様です。
メヘンディは子孫繁栄のシンボルであり、また、妻となる女性のメヘンディの色が濃ければ濃いほど夫とその家族から愛される、とされています。
そのため女性たちはメヘンディの色を濃く出すためのあれやこれやを試すのです。
メヘンディは、ペーストが乾いた後にペーストを肌から払いおとすのですが、このペーストをできるだけ長く肌の上に放置することがメヘンディの色を濃くする最大のポイント。布を巻いてそのまま寝たりします。
私にとってはこれが結構苦痛なのですが(なにせペーストが肌にのっている間は何もできないのですから)、インドの女性たちはこの時とばかり仕事や家事や何もかもを放り出して長い長いおしゃべりとティータイムに興じます。