『新茶の紅茶この一杯』
〔藻琴山湧水:欣明水編〕
道東、弟子屈町屈斜路湖の北、小清水町から向かうと小清水峠手前、ポンヤンベツ(川)の上流。
美しい笹藪の中に一本の水源があります。
私が毎年夏に北海道に通うきっかけになった湧水、欣明水(きんめいすい)です。
注:現在の表記はポンヤンベツ川ですが、アイヌ語で「ベツ」は川を表すそうなので、「ベツ川」は「川川」という意味になります。
この水源地の発見は1935年。藻琴山登山道路開設の折りにポンヤンベツ(川)上流でこの水源地が発見され、欣明水と名付けられました。
同じ藻琴山を水源とした水では藻琴川の上流に位置する銀嶺水がありますが、私の好みは断然、欣明水です。
甘い水!トロンとしたとろみがあり、甘いのです。
飲むと、まるで小さな水の分子そのものが体に染み渡っていくように感じられます。肌に付ければ表面からスゥーっと浸透していくようです。
試しにこの貴重な水を使って車を拭いてみると、タールやピッチが簡単に落ちて、塗装面はコーティングされた様にツルツルになりました。見事な水です。
今回はこの水を知床半島まで持って行きました。
場所は知床五湖の先、カムイワッカ。川の水が温泉で、上流の滝壺が湯船になっている秘境です。現在は落石の為、最上流の滝壺までは行けませんでしたが、強酸性の温い川湯に足を浸しながら飲むアッサムストレートティーは実に甘くまろやかでした。
欣明水とカムイワッカのコラボレーションはこれが初だろうなぁーと悦に入りました。
阿部耕也 記