阿部耕也の紅茶日記
謎のフタ
今まで木箱で送られてきていた紅茶も、最近は麻袋や厚紙袋入りの紅茶が茶園から出荷されるようになりました。理由は2つ。木材の値段が高い事、それに袋に入れた方が軽くなるので運び易いから等の理由です。でも、私は断然木箱の方が見た目にも気に入ってます。(私共のお取引店でもディスプレイとして空き箱を置いて下さっているお店もたくさんあります。)ここ10年はアッサムティーがだんだん袋入りに変わってきて今では殆ど麻袋入りです(内側はビニール袋)。ダージリン・ティーも袋入りが多くなってきました。焼き印がいっぱい捺されていて、フタを開けるときの楽しみがいっぱい詰まった木箱入りの紅茶が少なくなっていくのは寂しい気がします。
さて、紅茶の箱には茶園名・ランク・内容量・総重量・摘み取り年度・固有の番号(Invoice No.)が表記されています。茶園で箱詰めされた紅茶は封印されてカルカッタへ運ばれます。ティーオークションの主催者は封印された紅茶のフタを開けずにサンプル用の紅茶を取り出さなければなりません。そこで固有番号が付けられた中の1箱に丸い小さな穴を開けてサンプル提供のための紅茶を取り出します。取り出される量は4.2キログラムから4.6キログラム。サンプルティー1袋は約12グラムですから単純に計算すると世界中でオークション前にお茶を手にすることが出来るのは350人位ということになります。茶園で封印されて出品された紅茶は絶対にフタを開けられることなく、競り落とした人の手に渡ったという証拠をこの小さな穴が示しているのです。