阿部耕也の紅茶日記
緑茶・青茶・紅茶について
私達が日頃親しんでいるお茶には緑茶・紅茶・ウーロン茶等がありますが、これらは共に椿科の茶葉を原料とし発酵をさせるかさせないか、また発酵の度合いによって区別されます。緑茶は不発酵茶をいい日本茶、ロンジン茶やズウ茶に代表される中国緑茶があります。日本では蒸気で蒸して発酵を止めておりますが、中国では釜入りし加熱処理をしています。中国での茶生産量の約7割はこの緑茶です。
紅茶は発酵度合い90%以上の全発酵茶として知られています。インド、スリランカ、ケニア、中国、インドネシア等が主産地で世界の茶生産量の約8割が紅茶です。
青茶(チンチャ)とは聞き慣れない名称かと思いますが、中国では半発酵茶がこれで、発酵度合いは30~70%のお茶です。烏龍茶や水仙茶等が有名ですが、80年代にウーロン茶がブームになった時、チン茶という名で普及せずに、全てウーロン茶として販売されたが為に、本来烏龍茶とは別の種類の鉄観音茶でさえも混同されるという誤解を招きました。この他、後発酵茶としてプーアル茶に代表される黒茶(ヘイチャ)、産毛の生えた茶の芯芽だけで作った弱発酵の白茶(パイチャ)、浅い後発酵の黄茶(オウチャ)等があります。
中国では主として緑茶が飲まれてきました。陸羽の『茶経』に記されている製法も蒸製の緑茶で、それを突き固めた餅茶(ピンチャ)団茶(ダンチャ)そして抹茶が作られて来ましたが、14世紀には釜入り茶に移行し、茶葉で飲むのが主流となります。
一方発酵茶の出現はそれからかなり遅く明代(14世紀~15世紀)になってからです。16世紀に武夷茶(ブイチャ)が、18世紀に鉄観音茶、19世紀になってやっと烏龍茶が作られます。紅茶が完成するのも18世紀のことです。
発酵茶の歴史の新しさと中国茶の主流が緑茶であることに驚かれた方も多い事でしょう。また、中国茶の代表は青茶の烏龍茶だと思われている方が多いようですが、中国における青茶生産量は6%、紅茶は15%、主流はあくまで緑茶なのです。