阿部耕也の紅茶日記
カメリア新聞
「色々な想い」
カメリアにお越し下さるお客様は色々な想いを持って来て下さっているのが、最近よく伝わってきています。そして、その想いが、個々にストーリーが創られているのを感じています。
「何故落ち着くんだ!椅子か流れる曲か、なんなんだ!」という感じである女性のお客様はお考えになったそうです。これだ!はなかったそうですが、全てが居心地がいいんですとおっしゃって下さいました。この方は春にお嫁入りされ、新居をカメリア風に居心地良くしたいそうです。
私、安倉がカメリアに居られることが幸せであるのと同様、お客様にもこの想いを感じていただけて、更にHAPPYなカメリア店主であります。
「ジョンさんが帰ってくる!」
「ロクガツニジュウロクニチ」と最後に言い残し、彼は去って行かれました。彼の名は「ジョン」さん。イギリス人のお年をめした紳士で2ヶ月間、イギリスとドイツに行ってらっしゃいます。(帰られたと表現すべきでしょうか・・・?!)もうすぐその6月26日がやってきます。ジョンさんは2月13日から4月24日までほぼ毎晩(カメリア臨時休業とジョンさんの用事以外)夕ご飯を食べにお越し下さってました。日本語が少しのイギリス人とわずかな英単語だけの日本人。会話はほとんど成り立ちませんが、それでもここカメリアで本を読んだり書き物をされたりゆったりとした時間をお過ごし下さっていらっしゃいました。一度だけジョンさんが日本人のご友人をお連れ下さったことがありました。そのご友人が「ジョンにいい店があるって聞いたんだ」と教えて下さいました。一日のうちの数時間、ジョンさんの貴重な時間をカメリアで過ごして下さるということは本当に嬉しいものです。他のお客様でもそうです。
お一人お一人の時間を大切に「ホッ」を大切に益々努力してゆきたいと思っています。
「松葉杖のお客様」
ある日の印象的なお客様、3人の親子連れのお客様でした。
40代くらいのご夫婦とその娘さん。いつも休日の夕方前くらいにお見えでしたが、その日は平日にお越し下さいました。初めにドアを開けて入ってこられたお嬢様がいつものソファ席に座り、その後からご主人におんぶされ奥様がお見えになりました。松葉杖も持参でいつもと様子が違っていました。お帰りの際、いかがされたか尋ねると駅のホームに転落されたとか。運よく意識があり自力で助けを呼び救急車で運ばれたそうです。それは2日前の出来事。「どうしてもここに来たかったんです」と病んだお顔でおっしゃって下さいました。私は胸がつまりました。お帰りも旦那様におんぶされ、車をカメリアの前までもって来てもらい、ふらふらされながらお帰りになられました。私は最後までお見送りせずにはいられませんでした。店内には2組のお客様がいらっしゃいましたが、お待ち下さっていました。
その日は私の想像を越えるカメリアの存在を感じさせられました。