阿部耕也の紅茶日記
森岡 あゆみさんのレポート

哲学倶楽部 8月

 連日猛暑の続く8月半ばの週末、阿部先生が講師をされている「アヒルの哲学倶楽部」が開催されました。初日は岡山のTea Room Camelliaにて、夕ご飯のカレーをいただいた後始められました。私は先月、阿部先生の日記にレポートを載せていただいたとおり、「自分自身の詳細を理解し、これからの時間を自分の意志で歩みたい。そのための芯を作っていきたい。」という理由で哲学倶楽部に参加し、先生のお話を楽しみにしています。

 この日の参加者はちょうどいい感じの6名でした。高校生の女の子もいて、素直な感性と先生の奥行きのある話題、内容によりみんなで濃い時間を過ごしました。
内容については、置かれた状況やその人の性質によって、聞いた内容は幾通りにも拡がりを持つと思います。なので、ここではあくまでも私個人の主観でお伝えすることをご了承ください。
 私の今の状況は、大切にしたい子供がいて、その生活を支えるための仕事があり、自分が将来やりたい事やなりたいビジョンも大方見えてきた場所に立っています。一方、自分からは切り離すべき人や環境もあり、その混乱のさなかでもあります。自分だけが大変なわけじゃない、とわかっていても、「さすが厄年!見事にすべて行き詰まることよ・・」と泣きたくなる日もあります。
 
その日の阿部先生にお話いただいたテーマで一番心に響いたのが「自分を研く方法」です。なぜ自分はそれをしているのか、詳細に説明できますか?と聞かれて、普段無意識にしている言動がいかに多いか、それだけ自分のことを理解せずに、他人を理解などできるわけがない・・ハッとしました。まず、自分のことをよく掘り下げて分析し、しっかりと理解して自分らしい行動ができるようになると深い満足感を得ることができ、それは同時に自分だけの幸せを感じてさらに自己を大切にできることにつながります。そんな自己愛をもてる人は、その周囲まで幸せにできる力を持つことになります。
 私がモヤモヤと不安を感じるのは、自分にとって現在の状況の意味がわからなかったり、相手によって感情を振り回され混乱しているからだと思います。外からの刺激ではなく、まずは自分の内から定めていくことにすると、感情だけでなく理性で行動できるようになります。まだ、自分の実践サンプルは少ないのですが、私はもともと感情と勢いが先行しているタイプなので、少しでも理性が活きると、大きな変化を感じられます。

 二日目は、広島で12人の参加者で開催されました。整骨院をされているご夫婦が中心となり、お仲間を集めて阿部先生を招かれ開催が決まりました。前回に続き2回目の倶楽部です。

 こちらでは、まず紅茶講座から始まりました。紅茶、中国茶、日本茶それぞれの産地や種類、特徴を丁寧に教えていただきました。お茶の話しから枝葉が広がっていろいろな素敵な言葉もでてきました。印象に残ったのは、武術でいう「おこり」という言葉です。相手と向かい合う時、自分を「無」にして相手の心と通じ合い、この先の流れを読むことだと私は理解しています。武術に限らずこの感覚は人に接する時のコツみたいだな、と思いました。

 この哲学倶楽部の特徴は、その場の参加者の雰囲気や阿部先生の感によってお話の内容がどんどん拡がっていくことです。自由に発言したり質問したりすることで、先生を中心にみんなで空気を作っている感じがとても気持ちよく感じられました。

 

 約5時間、ガネッシュの紅茶やおやつを片手に楽しい時間を過ごしました。

この「新茶の紅茶」が他の紅茶と違うところは、体に優しくいくらでも飲めるところでしょうか。新茶だから苦みがなく、無農薬栽培のため体に負担がないのもその理由の一つですが、他にも理由があるようです。

 先生の日記のずっと最初の方のトピックになりますが、ガネッシュのスタッフがインドの農場を訪問されている様子をレポートされています。そんな、栽培・加工をされている人々の姿勢や、正規ルートで買い付けをして生産者と消費者をまっとうに橋渡しされているガネッシュの想い、その一連の情熱や真摯な流れが、波動(良質の気)の高い紅茶を創り出しているのだと思います。物でも食物でも気持ちを籠めて丁寧に扱われたものは、きっと良い「気」を宿して私達に影響するのではないかな、と毎日紅茶を飲みながら感じています。そんな事を自然に感じさせてくれるくらいエネルギーのあるお茶だともいえます。

 

 美味しいお茶と、頭と心に響くお話で1日を過ごすと、日々の違和感を思考により解決できたり、問題に対する手の着け方を発見できました。ごく自然に体の内から湧いてくるような感覚です。感じるためには感覚を磨く必要があります。感覚を研くには、「ピンときた事に対してまず動いてみて、結果を分析はしても評価しない」という方法で動いてみることだと教わりました。感がして動けば、それは感動となり、感動したことは覚えておくことになるので、感覚が研かれるのです。

分析して考えることは必要だけど、一時の評価でその事を終わらせれば記憶として残らない、と先生は言われていました。自分で評価することに意味なし、と。これは、私にとっては自分の殻を1つ破ったくらい「いいこと聞いた!」感じがしました。

 

 その日は夕方、広島から岡山に移動してTea Room Camelliaでの哲学倶楽部が予定されていたのですが、新幹線の信号故障や落雷による停電などが重なって予定の時間に岡山に到着できませんでした。何度も停車する車内で、私は阿部先生の哲学ノートを見せていただきながら、ゆっくり考えることができて

(岡山で待っていた参加者の方には申し訳ありませんが)貴重な時間を過ごすことができました。そこで教えていただいたのは、「考えを堂々めぐりさせることに意味はなく、ノートに書き出して頭をカラにすれば、またそこに新たな気づきが生まれる。」ということです。決めたことは、それが仮定でもいいからノートに書いて固定しておく。同じことでぐずぐずと堂々めぐりしない、私はその日心に決めました。

 

 こうして、8月の岡山、広島での哲学倶楽部はあっという間に過ぎました。あれから数日がたちますが、時間をかけて考えると、ぼんやり理解していたことがはっきりわかったり、実際にその思考で行動して変化があったり、私の哲学として少しずつ定着しているのを感じています。私の場合、まだ不変的な哲学観はもてていませんが、揺らぎとオリジナルの感性をうまく流れにのせた自分なりの心の地図を作っていきたいな、と思います。

 

 倶楽部で同席できた皆さんとも、今後いい関係を築けていけたら嬉しいです。

 阿部先生、今回も固まった頭を優しく、また鋭くほぐすようなお話をありがとうございました。いつもどおり引き込まれ、目の覚めるような瞬間がたくさんありました。次回の倶楽部を楽しみに、価値あることを積み上げていきたいと思います。

 

                            森岡 あゆみ