ユウホの紅茶四方山話 ダージリン茶園見学4
翌日はクルセオンを離れ、ダージリンとクルセオンの中間地点にあるJUNGPANA(ジュンパナ)農園へと向かいました。この農園は前にお話しした2農園が舗装道路から程近いのとは対象的に、道路から離れた場所にあります。
この通り、途中で道路が無くなっていて、車を降りて30分強の山道を登っていかなければなりません。しかも茶園も「こんな所どうやっても歩けない……」というような斜面に多々存在し、(実際、農園の方にお話を伺ったら「そういう所は専門の人が行くんですよ」とおっしゃってはいましたが……、実際45度はありそうな斜面の中、どのように茶摘みをするのでしょう)、いかにも昔ながらの茶園、という風情がありました。
↓このように自然と茶園が非常に複雑に交じり合っています
このJUNGPANA農園でも工場の施設と農園を見学させて頂いたのですが、農園見学の最中に突然の大雨が降り出してきました。
それと共に今まで聞いた事の無いような巨大な音の雷が。もちろんあわてて工場に戻って、濡れた服のまま一息。ダージリンの名前の由来が『Dorge』『Ling』=『雷の』『場所』だというのにも納得し、しばらくは
「風情のある景色だなあ……」などと思っていたまでは良いのですが、雷も風も雨も強くなるばかり。まさにスコール、といった様子になってきました。(粒が完全に確認出来る大きさの雨が真横に降っているのが見えるくらい)しかも、工場から車に戻るまでは30分。しかも岩だらけの山道を行かなければいけません。これはしばらくは立ち往生かな……などと思っていると、全く止む気配がありません。工場のマネージャーさんも
「これはなかなか無い豪雨ですねー。普通は1時間くらいで落ち着くのですが」
と心配そうな顔。
結局、工場の方の親切で淹れて頂いたお茶を飲みながら、待つこと3時間。ようやく雨が小降りになってきた所を狙って、一気に車の有る場所まで移動することになりました。しかし、道が滑る!とにかく滑る!石の上に風で飛んできた木の枝が加わって、足元が悪くなっている上に片側は数十メートルはある崖。なかなか緊張感のあるハイキングになりました(苦笑)。
しかし、世の中とは一つ何かがあるとまた一つ別の何かがあるもの。この雨のおかげで、素敵な贈り物が待っていました。
雨のために大幅に予定が遅れてしまったため、日が暮れる前にホテルに到着しよう、と少し急いでダージリンに向かっている途中、運転手さんが急に道路に車を停めました。
「あら、これは何かトラブルかな?」
と思って何が起きたのか聞いてみると、どうやら窓の外を見てみろ、とのこと。
そこで、窓の外を見てみると……
まさか、まさかのカンチェンジュンガです。元々こちらに来る際に普段は霧がかかるためカンチェンジュンガは運が良くなければ見られない、と聞いていたのですが、それがまさかこんなにくっきり見られるとは!
運転手さんも
「今日はいっぱい雨が降ったり、立ち往生したりしたけど、そのおかげで雲が全部飛んだし、景色の良い場所で日が暮れたんだよ。君は運が良いね!」
と言いながらカンチェンジュンガを眺めていました。
(実はあの大雨の後、移動中、小さな街中を抜ける際に、選挙のために中心街に集まった車が自然渋滞を起こし、警察が来るまで立ち往生、という事態に巻き込まれました(苦笑))
結局、日が落ちるまでこの雄大な景色を眺めていました。